実にいい本に出会った!伊藤嘉明・著「差異力」を読んでみた。
本田圭佑のオビに、胡散臭さを感じたが、手にしてみた。^^;;
読み進めていくうちに、内容が被っている箇所がいくつもあったが、
それは恐らく、著者が強調したいことなのだと捉えることにした。
読み終えて、結論を言うと、大変良書だと思う。
「VUCAの時代」と言われている今、不安を感じずに行きていくことは難しい。
ワタシは、平成2年に大学に進み、就職活動(今にして思えば就社であったか?)をし、
バブルが弾けた平成6年に社会人になった。
10年ほど働いて、会社を辞めた。(飽きたというのが近いか?)
日本的経営システムの象徴であった、終身雇用と年功序列。
卒論を書いていた頃、すぐにでも無くなるのかと思ったが、
果たして実感レベルで消失したのは、ここ最近ではなかったか?
変化というものは、時に早いものではあるが、
意外なほど、遅いこともある。
ただ、総じて、世界のスピードは、紛れもなく早いと思う。
会社を辞めてからは、職業訓練校に通ったり、
ショッピングモールの会社に行ったり、
印刷会社のインターネットの部門に行ったりと右葉曲折して、
結局のところ、今の会社に落ち着いてしまった。
(悪いことではないと思ってはいるが。)
まあ年齢も頃合いなので、とも思ったが、
それでも自身を、日本を取り巻く環境は、
変化があり、不確実で、複雑で、曖昧である。
寄らば大樹の陰。
ただもう、そんな大樹は、どこを探しても見当たらない。
そんな”ぼんやりとした不安”がある中で、この本を手に取った。
まず、書き方が直球である。
時に、痛みを感じてしまうが、著者は真剣なのだろうと思った。
「日本の覚醒に力を注ぐ」と著者は言う。
これを人任せにせず、自らも覚醒に向けて、動かねばならないと思った。
これから社会に出る若者には、ぜひ手にしてもらいたい。
50に近いワタシのような”オッチャン”にも刺さるのだから、なおのこと。
それにしても差異力。聞きなれない言葉ではある。
著者によると、こういうことらしい。
ここで、差別化と差異化の違いを説明したい。差別化は「差をつけて、分ける」という言葉のとおり、違いを強調し、競合とは異なる市場で戦うという考え方だ。「みんなとは違う」と構えてしまうため、敵をつくりやすい。一方、差異化は、自分自身の違いは示しながらも、あくまでも共通の土俵で戦うことである。
この本は、単なる転職のススメといった、”薄い”本ではない。
自らの殻をやぶり、新たな道を模索することを説く一冊である。
人生に違和感を感じている人は、ワタシを含めて、相当数いるだろう。
ぜひ、一読をお勧めしたい。